こんばんは。

今回も続き物で申し訳ありません;

が、しかし、前回の『MIRACLE。』は懐古モノの文章でしたが、
今回はほぼリアルタイム、2007年11月23日のお話です。



さてさて、昨日は、とても1日が長く感じられた勤労感謝の日でした。



バイトじゃないのにスーツを着て、
バイトじゃないのにバイト先の駅へ行きます。

駅での待ち合わせは15時。
時刻どおりに皆は来ました。

わこ「ないとさん!おこんばんは〜!」

アーチ「こんにちはっす、ないとさん。」

サコちゃん「こんにちは…。」

メイバイ先の仲間、わこ・アーチ、それにアーチの妹サコちゃん。
わこ&アーチはスーツ、サコちゃんは制服です。
挨拶も済ませ、駅の出口へ向かいます。
階段を降りてロータリーに出ると、見慣れた笑顔がありました。

わこ「のんのさ〜〜ん!」

スーツ姿ののんのに飛び付くわこでした。
そして、のんのの後ろにもう1人、
先日長期の海外出張から戻ってこられた、
のんののお父様がワンボックスカーを背に立っていらっしゃいました。

ないと達「こんにちは。」

のんのパパ「こんにちは、みなさん。今日はわざわざ有り難う。」

ないと「いえ、自分達こそ、突然の参加を許していただき、有り難うございます。」

この時の自分は、就活での面接張りの緊張感で話してました。
パパさんの横で、のんのが笑いを必死に堪えてました。
そんなに珍しいですか、自分のマジ態度(笑)

のんのパパ「ま、とりあえず乗ってください。」

そう言われ、クルマに後部座席に乗り込む自分達。
7人乗りのクルマだったので、車内はゆったりしていました。



クルマは陽が徐々に傾く中を走り続けます。
目的地は、郊外にある、のんののお母さんが眠るお墓。
自分やアーチはおろか、のんの自身もお母さんに会った事はありません。
それでも、のんのは毎年欠かさず、11月下旬になるとこうしてお墓参りに行きます。
その目的の第一は、自身の成長を見せるため、なのだそうです。

去年はパパさんが海外出張でいらっしゃらなかったし、
自分達NAWも参加していませんでした。
でも今年は、パパさんも、NAWも、サコちゃんもいます。
大勢で押し掛けるのはマズイかも、と最初は思いましたが、
パパさんがNAW+サコちゃん参加案に大賛成。
そして全員の予定が合う、23日に行く事になったのでした。



のんの「お父さん、お線香、持ってきた?」

助手席に乗ったのんのが、運転席のパパさんに問うと、
パパさんは笑顔で「持ってきたよ」と答えてました。
すごく仲睦まじくて、そのやり取りを見ているだけでも、
えぇ親子やなぁ〜って感じてました、ワタクシ。

のんのパパ「花は、積んだよな?」

のんの「うん、さっき買ってきたよ。」

のんのパパ「ありがとう。」



その一方、後部座席は静かでした。
自分の横に座ったわこも珍しくダンマリ。外の流れ行く景色をボーっと見つめていました。

のんのパパ「あれ?みなさん、随分と大人しいね?」

運転で前方に視線を向けたまま、パパさんが話を振りました。

のんの「そんな、お父さんがいるからって遠慮しなくていいんだよ〜?;」

続いて助手席から、のんのが顔を覗かせました。

ないと「いや、だってさ…、なぁ?」

アーチ「そうっす、今は、静かなままでいいんじゃないですか?;」

サコ「… … …。(黙って頷く)」

わこは、相変わらず窓の外に視線を向けています。
こんなに黙ってるわこは珍しいです、これまでの最長記録かもしれません。(睡眠時は除く)

ないと「なぁ、わこ、そぅやんなぁ?」

わこ「… … …。。。」

姿勢を変えないまま、わこはヒトコト何か呟きました。

ないと「…ん?ゴメン、も1回言って?」



わこ「… … …酔った、吐きそ。。。。。」




ないと・のんの・アーチ「わぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!」




一気に車内の温度とテンションが急上昇、
テンパるワタクシ・アーチ・のんの。

のんのパパ「だ、大丈夫?クルマ、どこか止めようか?;」

パパさんのススメに首をヨコに振るわこ。
サコちゃんは袋を探すためか、カバンを必死に漁っていました。



数分後、のんのが持ってきたペットボトルの水を飲んで少し落ち着いた様子のわこ。
と、同時に、クルマは目的地であるお墓を有する寺社へと到着しました。

のんのパパ「はい、到着。」

一同「ありがとうございました。」

ワンボックスカーから降り、門をくぐる自分達。
パパさんとのんのはそれぞれお供え物等を持っていました。



ないと「水、持って来ましょうか?」

墓地に入りかけたところで、自分はパパさんに話しかけました。

パパさん「あぁ、じゃぁ悪いけどお願いするよ。場所は、向こうに出れば分かるはずだから。」

ないと「はい、承知しました。 わこ、手伝ってちょーだいな。」

わこ「ほ〜い!」



言われた通り、墓地から少し歩いたところに水を汲む場所がありました。
桶と柄杓を拝借し、水を満たしていきます。
スーツでの作業は思ったより難解で、(スーツが)危ないシーンが何度かありました;

わこ「ないとさ〜ん、何で水汲み立候補したんですかぁ〜?
   ここは、アーチが『お父さん!この俺が、水を持って参りましょうか?』
   ってイメージアップを図る場面じゃ…。」

ないと「今頃のんのが上手くやってるて。」

わこ「???」

確かにわこが言った考えも良いかと思いました。
お付き合いをしているアーチとのんの。
のんのパパさんが居れば、アーチの緊張は限界を超えたものとなっていたでしょう。

そこで敢えて自分は、直接話す事で、パパさんとの距離を縮めてもらいたいと考えました。
のんのも恐らくそう考えていたと思うので、
自分達が水を汲んでいる間、
アーチやサコちゃんと、パパさんがお話している姿が展開されていた事でしょう。

わこ「な〜るほど♪」

わこも納得してくれたようで、水の満たされた桶を持ち上げます。
…が、やはり重たいようで、スーツ着用なのに顔は真赤。
そのギャップが不可思議にも面白かったです。



墓地は広かったですが、参拝者が少ない事もあり、
のんの達はすぐに見つかりました。

パパさん「いやぁ、ありがとう。じゃぁまずは洗おうか。」

そう言って墓石に水をかけ、ブラシで軽く掃けだしました。
すかさずアーチがパパさんに代わって働きます。
スーツなのに、服を気にせず一生懸命に磨くアーチ。
その時、のんのがパパさんに向かって笑顔で親指を立て、
パパさんもその意味を即座に解したかのように笑顔で頷きました。



あぁ、どうやら、自分やわこが持っていた不安は、もう抱く必要がなさそうです。



サコちゃんも兄アーチを手伝います。
自分も手伝おうと思ったのですが、アーチ兄妹の働きに付け入る隙などありませんでした;



2,3分でお掃除完了。
次に水を差し替えます。と、ここでサコちゃんが何かに気付きました。

サコちゃん「…差し替え前の花ってもう取ってしまわれたのですか…?」

言われてみれば、お墓には古い花が挿してありませんでした。
訊けば、のんのが前回来た時に、破棄したのだそうです。
枯れた花を、新しい花に替えるまでずっと置きっぱなしにしておく、
という事が気になっていたという理由で。

ここにも、のんののちょっとした思いやりが籠められていたのでした。



陽もかなり傾いた頃に、水も替え、そして新しい花も挿しました。
パパさんが線香に火を点け、供えます。
自分達はお墓の前に整列し、パパさんが線香を供え終わったのを見て、眼を閉じました。




のんの「私ね、お母さんが居ないんだ。」
ないと「え?それって…。」
のんの「死んじゃったの、私が生まれてすぐに。」
ないと「そうなんだ…。」
のんの「あ、でもね!全然気にしてないから!ごめんね、暗い話になっちゃって;」

〜・〜・〜・〜・〜

ないと「のんのの夢って何なん?」
のんの「夢、そーだなぁ…、、、お母さん、かな。」
ないと「王道のお嫁さん、じゃなくて?」
のんの「うん、立派なお母さんになりたいな…。」
ないと「お母さん…か。」
のんの「死んじゃったお母さんの分も、私が『お母さん』になりたいなって。」

〜・〜・〜・〜・〜

のんの「お父さん、また帰国が延期になっちゃった。」
ないと「それは、…残念やね。でも、お父さん、好きやろ?」
のんの「うん、大好き。お父さんは今の私にとって一番大切な私の家族だもん。
    お仕事の都合上、たまにしか帰ってこなくてもね。」
ないと「のんのは強いね。」
のんの「お父さんに似たんだよ、きっと。お父さんの方が私よりずっと我慢してきてる…。」
ないと「… … …。」
のんの「ほんの少しでも、お父さんを助けられるようにならなきゃ…。」




のんのと出会って1年半。
その間にしてきた様々な会話が不思議と頭の中に続々と戻ってきました。
でも思い出されるのんのの言葉はどれも、前向きな言葉でした。
それ以前に、のんのが家族について発した言葉は、全て前向きな言葉だったのかもしれません。


眼を開けて横を見れば、のんのはまだ眼を閉じ、両手を合わせていました。
その様子を、奥からパパさんも見つめているように見えました。
天国のお母様も、同じように、成長したのんのを見つめていた事でしょう。



参拝が終わった頃には、陽はほぼ完全に落ち、
走り出したクルマの中から観る景色は、既にネオンに包まれていました。

帰りのクルマの中は、行きとは別のクルマのようなテンション。
わこも車酔いを克服し、パパさんとの絶妙なトークを展開していました。
アーチやサコちゃん、のんのもパパさんも楽しそうに笑い、
自分もその笑いに乗っかるように笑い合いました。

その雰囲気は、言葉で表そうとすると、どの表現を用いればいいのか迷いますが、
曖昧な表現を用いると、何だか、とても温かかったです。





申し訳ありませんが、続きます。。。

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