NAWN崩壊危機。2
2008年3月11日 旧・お仕事。ESも書き上がり、就活にも多少の余裕が出てきたので、
今の時期に「NAWN崩壊危機。」を書かせて頂いておりますが、
実はかなり最近の話なんですよね、この話;(2月おわり〜3月はじめ)
意外に地元民の方からNAWN話は大好評を頂いています。
今回はその第2話目。少々長いですが、読んで頂けると幸甚です☆
余談ですが、地元東浦和で女子大生が被害に遭った傷害事件がありましたね。
この日記に最近載せてて該当する女子大生(=東浦和住民)は、
ミルちゃんやミュウを含めて結構いますかね。
犯人は捕まったようではありますが、一応‘今後も気をつけてねメール’を送りました。
(地元民の方は、地元SNSに詳細を載せてますのでご参照を)
2.実行編
〔あらすじ〕
メイバイ先の上司・黒河さんと、朋輩のんのと飲みに行った時、
朋輩わこが、自分とのんのを便利屋と表現したという話に少々戸惑った我等2人。
そこで、黒河さんの提案で、
わこを少々からかう目的でドッキリを仕掛ける事となりました。
「ドッキリだって。うまくいくのかなぁ?」
飲みの帰り道、のんのが不安そうに洩らしました。
春口とは言え、その日の夜は冷えており、吐く息はちょっとばかし白かった気がします。
「私、演技って自信ないなぁ〜; すぐ表情に出ちゃいそうで;」
「ま、バレたらバレたでいいとして、とりあえずは黒河さんの脚本通りやってみよか。」
「そだね。でも、わこちゃんて勘が鋭いから…」
「確かにソコは大きな不安要素やね。もしかしたら開始後すぐにバレるかもなぁ;」
「えぇ〜!中途半端だと逆に気まずくなっちゃわないかな?」
「そう考えると中途半端に終わらせないようにせなアカンわな。」
「う、うん。。。 うまくいくかなぁ…。。。」
「ん〜、ま、自分ら次第なんちゃうか??」
のんのの不安を打ち消す事はできなかったであろうコメントを自分は残し、
のんのを家まで送りました。それだけ自分も見通しがつかなかったんです。
黒河さんの『ドッキリ大作戦』の実行は、次に自分・のんの・わこが会った時。
その実行の日は意外と早くやってきました。
飲みから2日後。3人とも偶然に指導の時間が重なりました。
指導前は特に長い会話もせず、指導中は3者3様の指導が展開していた事でしょう。
指導も終わり、事後調整も手早く終わらせ、自分達は共に帰る事に。
「今日もお疲れさまっしたぁ〜!」
わこの声がバイト先を包みます。自分達も残る職員さんたちに声を掛け、校舎を後にしました。
「はぁ〜〜〜…」
駅に向かって歩きながら、のんのが溜息をつく。実はこれがドッキリ開始の合図なのでした。
「のんのさん、どーしたんですかぁ?溜息なんかついちゃって。」
「ん〜、やっぱり、アーチくんがいないと全体的にヤル気が出ないな〜って。」
のんののダーリンであるアーチは、現在オーストラリアへ中期留学中です。
「あはは、ソレは仕方ないですよ。ないとさんでガマンしてください!^^」
普段なら、ここで自分はノッてツッコむのですが、
ここは自分のココロとアタマに喝を入れて。
「…にしても、ちょっとダラけ過ぎてるんちゃう?最近ののんの。」
「え?そーかな。それだったら、ゴメン。もっとも〜っと気合い入れて頑張るよ!」
普段とは違う会話の流れにはなりましたが、わこは特に何にも気づいてはいないようでした。
ので、もうちっとだけ強い口調で押してみる事に。
「アーチと約束したんやろ?アーチは絶対向こうでしっかりやってるて。のんのがそんなんやったらアーチが哀しむやん。」
「だいじょーぶですよ、ないとさん!アーチだって…。」
「あ〜ゴメン!今日チョット寄る所があるから。ここでバイバイね。」
わこの発言をバサッと切り、のんのは両手を合わせて申し訳なさそうな顔を。
そして自分ら2人の反応を見る事もなく、駅とは別方向に駆けて行きました。
「…のんのさん、ドコ寄るんですかねぇ??」
そりゃぁ慌てふためいた様子で普段では行かない道へ駆けてくのを見れば、
わこの出した質問を抱くのは当たり前。ところが。
「さぁ?」
自分も興味がないフリをしてバッサリ。
その態度に、わこは首を傾げつつも、サッサと歩く自分の横に走って追いついた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ないとさん、さっきのセリフはどーかと思いますよ〜?」
駅構内の喫茶店にて。わこの一言。
さっきのセリフとは言わずもがな、のんのに対して発したセリフの事である。
「そんなん言うたって、最近ののんのの怠惰振りは眼に見えてたやんか。」
ココロにも思ってない事を一生懸命に捏造する自分。
「そ、そりゃぁそーかもしれませんけど…。のんのさん、気にしてると思いますよ?」
ストロベリーパフェを食べながら、わこは最後に「謝った方が…」と小声で付け足しました。
既にこの時点で、わこのNAWNへの忠誠心が伺えますが、ドッキリはまだ始まったばかり。
中途半端で終わらせられないとのんのと話した事もあり、
ここでドッキリを終わらせる訳にはいきませんでした。
「自分、謝る気とか全くないから。」
真顔でキッパリ。流石にわこもこの態度は気に入らなかったらしい。
「ないとさん!それはダメ!NAWNとして、それはダメですよ!」
「…やなこった〜。」
「あぁぁ〜〜〜!ダークないとさんだぁ!;」
2人の空気はどちらかといえば不穏なものになっていったのは言うまでもありません。
勿論、大声で怒鳴りあうという雰囲気ではありませんでしたが、
その日は共にちっとばかりダークな気持ちのまま別れました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その日の夜。のんのに電話して、今日の事を報告する事に。
「あ、ないとくん。どーだった?今日、あのあと。」
とりあえず起こった事を事細かに説明。
「そっかぁ。何か、可哀想だよね。…このまま続ける?」
確かに、わこに対して申し訳ない気持ちがある事は言うまでもありません。
しかし、ココで終わらせると、『ないと・のんの不仲説』が妙に真実味を帯びて残ってしまう…。
そうすると、わこにまた余計な負担をかけてしまう…。
そんな気持ちもある事を、自分はのんのに告げました。
「ん〜、不仲説が残るのもイヤだな(笑) もうちょっと続けてみよっか。脚本してくれた黒河さんにも悪いし;」
「確かに。このままドッキリバラしたら黒河さんの努力が水の泡やもんな;」
「そーそー!じゃ、あまり事が大きくならない程度に続行という事で…。^^」
「あ、のんの。それから。」
「な〜に??」
「演技とは言え、ココロにもない事言ってゴメンな; その…アーチの事。」
「ううん。ないとくんが言ってくれた事、実はちょっと当たってるんだ。最近、落ち込みすぎてたな〜って。どっか自分に甘くしてたって思ってるし。だからね、指摘してくれて逆に感謝してるよ^^」
その言葉を聞いて安心しました。やはりのんのは寛容です。それでこそTHE・NAWNの母。(謎;)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
翌日は、自分は出勤しませんでしたが、のんのとわこがバイトで会ったらしく。
午前中のやり取りを夕方辺りに電話で聴きました。
事務の仕事で時間がカブッていた2人。仕事をしている時は特に変わった事はなかったようです。
退社後、昼ごはんを共にしたそうですが、その時、前日の話になったそうです。
「のんのさん、昨日は大丈夫でしたか?」
「大丈夫って、何が??」
「帰る途中で別れたじゃないですか〜;」
「あ、大丈夫だよ〜^^」
「も〜、ないとさんの言葉に傷ついたと思ったじゃないですかぁ〜;冗談ですけどね。」
「…ね〜ぇ?わこちゃんは、ないとくん好き?あ、えーっと、仲間・朋輩として。」
「な、なんですか、急に!? ほーばいとしてはマジ尊敬してますよ!」
このコメントを聞くだけで、垂直跳びで天井に届くんちゃうかってくらい自分はウレシイですけどね。
当然、話はここで終わりません。
「そっか。 私ね、最近思ったんだけど…。」
「はい。」
「私は、ないとくんとタイプが合わないかな〜って。仲間としても朋輩としても。」
わこはそのセリフに数秒間、固まったそうです。
「そ、な、何を仰いますやらのんのさん!; これまでもNAWNとして…。」
「NAWNもやめようかなって、ちょっと思ってるんだ…。」
わこは慌てて言葉が出てこなかったそうです。
その様子に、申し訳ない気持ちでいっぱいだったらしいです、のんのさん。
「NAWNやめるって…、もしかして個別指導も…?」
「…う〜ん、そだね。やめる、、、かな。それでもね、わこちゃんとはいつまでも仲良くしていきたいって思ってるから安心してね。」
「は、はいぃ…。。。」
のんのの告白を聞いて、わこはショックを隠せなかったようです。
とは言え、その告白以外は普段ののんので接したそうなので、
わこが一気に凹むという事はなかったそうなのですが。。。
その日の電話にて。
「正直、もう引き返せないよね?^^;」
「うん。ここでバラしちゃうと、かなり不自然やもんな;」
「ここまで来たら、最後までやりきっちゃおっか!」
「そやなぁ、案外演技もバレへんしな。(笑)」
「私、いっつもドキドキだよぉ〜;;」
そんな会話をしつつも、自分らもドッキリを早めに完結させたいという気持ちは、少なからず持っていました。
それだけ、それまでにわこのNAWNに対する忠誠がかなり伺えたからです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後も、ないと⇔わこでは、わこにはいつも通りに接し、のんのに対しては敵意を持っているように演じました。
また、のんの⇔わこでも、のんのはわこにはいつも通り優しく接するものの、自分ないとに対しては厳しい眼で見るように演じました。
わこは、遠慮してか、深くはツッコミを入れてきませんでしたが、
やはり違和感は覚えているようで、ツッコミのチャンスを伺っている様にも感じられました。
それが2,3日続きまして、再び指導室でないと・わこ・のんのが対峙する日がやってきました。
一番その雰囲気に緊張していたのはわこで、自分とのんのは平常心でその場に居ました。
しかし、平常心で居ながらも会話は皆無。何とかわこが関係を取り繕っていた感じでした。
指導前や指導中は生徒さんもいらっしゃるので、演技の色は全く出しませんでしたが、
指導が終わって指導室に我々3人が残った時に再びstart performing。時刻は17時半。
「はぁ〜〜〜…」
のんのが大きく溜息をつく。今回もこの溜息がスタートの合図でした。
「のんのさん、おつかれ〜っす!^^」
わこが明るい声で場を和まそうとする。が。
「また溜息か、いい加減にしてくれへん?思いを馳せるのは勝手やけど、こっちにまでドンヨリ空気持ち込むのやめてくれや。」
一気に場の空気を汚す、完全汚染物質ないと。換言すれば、史上最強のKYキャラないと。
「はいはい、どーもすみませんでした〜。」
のんのも、普段は絶対見せないナメた態度で返事を。
「あ、あ、な、ないとさん!のんのさん!仲良くしてくださいよぅ〜;」
わこの仲裁の声が入る。が、自分らのヒートアップは止まりません。
演技とは言え、しっかりやらないとわこにバレる!という想いがあったのでしょう。
自分ものんのも、本気でヒートアップしているように演じる事でいっぱい×2。
ヒートアップが続く事10分。
「わこちゃんだって、ないとくんに嫌気さしてるんだよ!?」
「わこは、弱気なのんのと違って絶対NAWNをやめたりせぇへん!これは絶対言える!」
さり気なく論点はわこに移ってまいりました。しかし、わこは発言の立ち入る隙がありません。
「とにかく、私はNAWNなんかやめるから!!」
時刻は18時。西陽の射す指導室にて。のんのの眼が自分の眼を責めてくる。
その顔は真剣すぎてコワいくらいでした。
とは言え、自分もソレに折れるつもりなどありませんでしたけれども。
「勝手にせぇや!こっちも追い出す手間が省けて助かるっちゅーねん!」
その眼に対抗する自分。数秒の間。
一瞬早くのんのの眼が自分から背かれました。
「あ、あの、ないとさん…!のんのさん…!」
自分らの間に入ってオロオロしているわこ。
しかし自分ものんのも、わこの言葉には耳を貸そうともしません。
「ないとくんなんか…もう知らない!」
そう一言だけ残して指導室を飛び出すのんの。
自分は表情を変える事無く、その背中を凝視してました。
「あ!のんのさん!!」
わこが心配そうにこちらを向きますが、すぐに指導室の閉まりかかったドアを思いっきりぶち開け、
のんのの後を追っかけました。自分もわこの後に続きます。内心ドキドキしながら。
2階教務。その日は授業等もなく、教務には黒河さんただ1人しかいらっしゃいませんでした。
のんのはその黒河さんと共におり、何か話しているようでした。
わこと自分がソコに辿り着くと同時に、黒河さんは冷静に口を開きました。
「あぁ、ないと、わこ。今日をもって、のんのが個別指導をやめるそうだ。意志は固いらしいぞ。」
黒河さんの発言に、のんのは真顔で深く頷いた。
「黒河さん!そんなアッサリ…!」
「わこ。のんのはな、だいぶ悩んだみたいなんだ。で、これはのんの自身が悩んだ末に出した結論なんだ。だから…。」
「ウソ!そんなのウソ!!のんのさんがないとさんを…嫌うワケないもん。。。」
わこは半ば涙眼でした。自分ものんのも、わこのその姿を見ると、
ドッキリをもうバラす時が来たと切に感じました。
互いに眼を見て、ドッキリをバラそうと同時に頷いた時、黒河さんが俯くわこにこう尋ねました。
「なぁ、わこ。お前はどうなんだ?」
「…え?」
「個別指導をやめるのんの。これでNAWNは崩壊。お前はどーする?のんのを追っかけるのか?それともないととココに残るのか?」
追い込まれているわこに追い撃ちをかけるかのような質問。驚いたのはわこだけではありません。
自分ものんのも、演技を忘れて驚きの表情を見せました。
わこは俯いたまま黙っていました。
アタマが真っ白なのか、真剣に黒河さんの質問の答えを考えているのか、それは分からなかったですけども。
「黒河さ…。」
たまらず、自分が黒河さんに声を掛けようとした時、黒河さんは素早く首を横に振り、その声を掻き消しました。
「…選べない…。」
わこから放たれた震えた声は、恐らくそのようなワードを描いたと思います。
しかし、その震えた声は小さく、確かには聞き取れませんでした。
「ん?ゴメン、聞こえない。 わこ。今のお前にはどっちか選ばなきゃ…。」
「選べない…!そんなの、絶対選べないもん!!」
黒河さんが再び同じ質問をしようとしたその瞬間、
わこは怒った顔で突然そう叫び、2階教務奥の階段を駆け下りていきました。
その後姿を見る事数秒。自分らは我に返りました。
「ちょ、黒河さん…^^;」
「わこちゃん、帰っちゃいましたね…;;」
黒河さんの脚本では、黒河さんの質問の返答が聞こえた瞬間、ネタばらしという流れでした。
が。実際にはわこは涙眼のまま、バイト先を後にしてしまいました。
「… … …あは☆弘法も筆の誤りんりん☆」
と一瞬オドける黒河さんではあったが、状況が変われば即時に司令官としての能力を発揮。
「まぁとにかく、わこを探してネタばらし、だな。」
「そうですね、ケータイ使いながら探してみます。」
「見つけたら連絡頼むぞ。」
というワケで、徐々に暗くなっていく外へ、
早速わこを探しに行く、ワタクシとのんのでありました。
(つづく)
今の時期に「NAWN崩壊危機。」を書かせて頂いておりますが、
実はかなり最近の話なんですよね、この話;(2月おわり〜3月はじめ)
意外に地元民の方からNAWN話は大好評を頂いています。
今回はその第2話目。少々長いですが、読んで頂けると幸甚です☆
余談ですが、地元東浦和で女子大生が被害に遭った傷害事件がありましたね。
この日記に最近載せてて該当する女子大生(=東浦和住民)は、
ミルちゃんやミュウを含めて結構いますかね。
犯人は捕まったようではありますが、一応‘今後も気をつけてねメール’を送りました。
(地元民の方は、地元SNSに詳細を載せてますのでご参照を)
2.実行編
〔あらすじ〕
メイバイ先の上司・黒河さんと、朋輩のんのと飲みに行った時、
朋輩わこが、自分とのんのを便利屋と表現したという話に少々戸惑った我等2人。
そこで、黒河さんの提案で、
わこを少々からかう目的でドッキリを仕掛ける事となりました。
「ドッキリだって。うまくいくのかなぁ?」
飲みの帰り道、のんのが不安そうに洩らしました。
春口とは言え、その日の夜は冷えており、吐く息はちょっとばかし白かった気がします。
「私、演技って自信ないなぁ〜; すぐ表情に出ちゃいそうで;」
「ま、バレたらバレたでいいとして、とりあえずは黒河さんの脚本通りやってみよか。」
「そだね。でも、わこちゃんて勘が鋭いから…」
「確かにソコは大きな不安要素やね。もしかしたら開始後すぐにバレるかもなぁ;」
「えぇ〜!中途半端だと逆に気まずくなっちゃわないかな?」
「そう考えると中途半端に終わらせないようにせなアカンわな。」
「う、うん。。。 うまくいくかなぁ…。。。」
「ん〜、ま、自分ら次第なんちゃうか??」
のんのの不安を打ち消す事はできなかったであろうコメントを自分は残し、
のんのを家まで送りました。それだけ自分も見通しがつかなかったんです。
黒河さんの『ドッキリ大作戦』の実行は、次に自分・のんの・わこが会った時。
その実行の日は意外と早くやってきました。
飲みから2日後。3人とも偶然に指導の時間が重なりました。
指導前は特に長い会話もせず、指導中は3者3様の指導が展開していた事でしょう。
指導も終わり、事後調整も手早く終わらせ、自分達は共に帰る事に。
「今日もお疲れさまっしたぁ〜!」
わこの声がバイト先を包みます。自分達も残る職員さんたちに声を掛け、校舎を後にしました。
「はぁ〜〜〜…」
駅に向かって歩きながら、のんのが溜息をつく。実はこれがドッキリ開始の合図なのでした。
「のんのさん、どーしたんですかぁ?溜息なんかついちゃって。」
「ん〜、やっぱり、アーチくんがいないと全体的にヤル気が出ないな〜って。」
のんののダーリンであるアーチは、現在オーストラリアへ中期留学中です。
「あはは、ソレは仕方ないですよ。ないとさんでガマンしてください!^^」
普段なら、ここで自分はノッてツッコむのですが、
ここは自分のココロとアタマに喝を入れて。
「…にしても、ちょっとダラけ過ぎてるんちゃう?最近ののんの。」
「え?そーかな。それだったら、ゴメン。もっとも〜っと気合い入れて頑張るよ!」
普段とは違う会話の流れにはなりましたが、わこは特に何にも気づいてはいないようでした。
ので、もうちっとだけ強い口調で押してみる事に。
「アーチと約束したんやろ?アーチは絶対向こうでしっかりやってるて。のんのがそんなんやったらアーチが哀しむやん。」
「だいじょーぶですよ、ないとさん!アーチだって…。」
「あ〜ゴメン!今日チョット寄る所があるから。ここでバイバイね。」
わこの発言をバサッと切り、のんのは両手を合わせて申し訳なさそうな顔を。
そして自分ら2人の反応を見る事もなく、駅とは別方向に駆けて行きました。
「…のんのさん、ドコ寄るんですかねぇ??」
そりゃぁ慌てふためいた様子で普段では行かない道へ駆けてくのを見れば、
わこの出した質問を抱くのは当たり前。ところが。
「さぁ?」
自分も興味がないフリをしてバッサリ。
その態度に、わこは首を傾げつつも、サッサと歩く自分の横に走って追いついた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ないとさん、さっきのセリフはどーかと思いますよ〜?」
駅構内の喫茶店にて。わこの一言。
さっきのセリフとは言わずもがな、のんのに対して発したセリフの事である。
「そんなん言うたって、最近ののんのの怠惰振りは眼に見えてたやんか。」
ココロにも思ってない事を一生懸命に捏造する自分。
「そ、そりゃぁそーかもしれませんけど…。のんのさん、気にしてると思いますよ?」
ストロベリーパフェを食べながら、わこは最後に「謝った方が…」と小声で付け足しました。
既にこの時点で、わこのNAWNへの忠誠心が伺えますが、ドッキリはまだ始まったばかり。
中途半端で終わらせられないとのんのと話した事もあり、
ここでドッキリを終わらせる訳にはいきませんでした。
「自分、謝る気とか全くないから。」
真顔でキッパリ。流石にわこもこの態度は気に入らなかったらしい。
「ないとさん!それはダメ!NAWNとして、それはダメですよ!」
「…やなこった〜。」
「あぁぁ〜〜〜!ダークないとさんだぁ!;」
2人の空気はどちらかといえば不穏なものになっていったのは言うまでもありません。
勿論、大声で怒鳴りあうという雰囲気ではありませんでしたが、
その日は共にちっとばかりダークな気持ちのまま別れました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その日の夜。のんのに電話して、今日の事を報告する事に。
「あ、ないとくん。どーだった?今日、あのあと。」
とりあえず起こった事を事細かに説明。
「そっかぁ。何か、可哀想だよね。…このまま続ける?」
確かに、わこに対して申し訳ない気持ちがある事は言うまでもありません。
しかし、ココで終わらせると、『ないと・のんの不仲説』が妙に真実味を帯びて残ってしまう…。
そうすると、わこにまた余計な負担をかけてしまう…。
そんな気持ちもある事を、自分はのんのに告げました。
「ん〜、不仲説が残るのもイヤだな(笑) もうちょっと続けてみよっか。脚本してくれた黒河さんにも悪いし;」
「確かに。このままドッキリバラしたら黒河さんの努力が水の泡やもんな;」
「そーそー!じゃ、あまり事が大きくならない程度に続行という事で…。^^」
「あ、のんの。それから。」
「な〜に??」
「演技とは言え、ココロにもない事言ってゴメンな; その…アーチの事。」
「ううん。ないとくんが言ってくれた事、実はちょっと当たってるんだ。最近、落ち込みすぎてたな〜って。どっか自分に甘くしてたって思ってるし。だからね、指摘してくれて逆に感謝してるよ^^」
その言葉を聞いて安心しました。やはりのんのは寛容です。それでこそTHE・NAWNの母。(謎;)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
翌日は、自分は出勤しませんでしたが、のんのとわこがバイトで会ったらしく。
午前中のやり取りを夕方辺りに電話で聴きました。
事務の仕事で時間がカブッていた2人。仕事をしている時は特に変わった事はなかったようです。
退社後、昼ごはんを共にしたそうですが、その時、前日の話になったそうです。
「のんのさん、昨日は大丈夫でしたか?」
「大丈夫って、何が??」
「帰る途中で別れたじゃないですか〜;」
「あ、大丈夫だよ〜^^」
「も〜、ないとさんの言葉に傷ついたと思ったじゃないですかぁ〜;冗談ですけどね。」
「…ね〜ぇ?わこちゃんは、ないとくん好き?あ、えーっと、仲間・朋輩として。」
「な、なんですか、急に!? ほーばいとしてはマジ尊敬してますよ!」
このコメントを聞くだけで、垂直跳びで天井に届くんちゃうかってくらい自分はウレシイですけどね。
当然、話はここで終わりません。
「そっか。 私ね、最近思ったんだけど…。」
「はい。」
「私は、ないとくんとタイプが合わないかな〜って。仲間としても朋輩としても。」
わこはそのセリフに数秒間、固まったそうです。
「そ、な、何を仰いますやらのんのさん!; これまでもNAWNとして…。」
「NAWNもやめようかなって、ちょっと思ってるんだ…。」
わこは慌てて言葉が出てこなかったそうです。
その様子に、申し訳ない気持ちでいっぱいだったらしいです、のんのさん。
「NAWNやめるって…、もしかして個別指導も…?」
「…う〜ん、そだね。やめる、、、かな。それでもね、わこちゃんとはいつまでも仲良くしていきたいって思ってるから安心してね。」
「は、はいぃ…。。。」
のんのの告白を聞いて、わこはショックを隠せなかったようです。
とは言え、その告白以外は普段ののんので接したそうなので、
わこが一気に凹むという事はなかったそうなのですが。。。
その日の電話にて。
「正直、もう引き返せないよね?^^;」
「うん。ここでバラしちゃうと、かなり不自然やもんな;」
「ここまで来たら、最後までやりきっちゃおっか!」
「そやなぁ、案外演技もバレへんしな。(笑)」
「私、いっつもドキドキだよぉ〜;;」
そんな会話をしつつも、自分らもドッキリを早めに完結させたいという気持ちは、少なからず持っていました。
それだけ、それまでにわこのNAWNに対する忠誠がかなり伺えたからです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後も、ないと⇔わこでは、わこにはいつも通りに接し、のんのに対しては敵意を持っているように演じました。
また、のんの⇔わこでも、のんのはわこにはいつも通り優しく接するものの、自分ないとに対しては厳しい眼で見るように演じました。
わこは、遠慮してか、深くはツッコミを入れてきませんでしたが、
やはり違和感は覚えているようで、ツッコミのチャンスを伺っている様にも感じられました。
それが2,3日続きまして、再び指導室でないと・わこ・のんのが対峙する日がやってきました。
一番その雰囲気に緊張していたのはわこで、自分とのんのは平常心でその場に居ました。
しかし、平常心で居ながらも会話は皆無。何とかわこが関係を取り繕っていた感じでした。
指導前や指導中は生徒さんもいらっしゃるので、演技の色は全く出しませんでしたが、
指導が終わって指導室に我々3人が残った時に再びstart performing。時刻は17時半。
「はぁ〜〜〜…」
のんのが大きく溜息をつく。今回もこの溜息がスタートの合図でした。
「のんのさん、おつかれ〜っす!^^」
わこが明るい声で場を和まそうとする。が。
「また溜息か、いい加減にしてくれへん?思いを馳せるのは勝手やけど、こっちにまでドンヨリ空気持ち込むのやめてくれや。」
一気に場の空気を汚す、完全汚染物質ないと。換言すれば、史上最強のKYキャラないと。
「はいはい、どーもすみませんでした〜。」
のんのも、普段は絶対見せないナメた態度で返事を。
「あ、あ、な、ないとさん!のんのさん!仲良くしてくださいよぅ〜;」
わこの仲裁の声が入る。が、自分らのヒートアップは止まりません。
演技とは言え、しっかりやらないとわこにバレる!という想いがあったのでしょう。
自分ものんのも、本気でヒートアップしているように演じる事でいっぱい×2。
ヒートアップが続く事10分。
「わこちゃんだって、ないとくんに嫌気さしてるんだよ!?」
「わこは、弱気なのんのと違って絶対NAWNをやめたりせぇへん!これは絶対言える!」
さり気なく論点はわこに移ってまいりました。しかし、わこは発言の立ち入る隙がありません。
「とにかく、私はNAWNなんかやめるから!!」
時刻は18時。西陽の射す指導室にて。のんのの眼が自分の眼を責めてくる。
その顔は真剣すぎてコワいくらいでした。
とは言え、自分もソレに折れるつもりなどありませんでしたけれども。
「勝手にせぇや!こっちも追い出す手間が省けて助かるっちゅーねん!」
その眼に対抗する自分。数秒の間。
一瞬早くのんのの眼が自分から背かれました。
「あ、あの、ないとさん…!のんのさん…!」
自分らの間に入ってオロオロしているわこ。
しかし自分ものんのも、わこの言葉には耳を貸そうともしません。
「ないとくんなんか…もう知らない!」
そう一言だけ残して指導室を飛び出すのんの。
自分は表情を変える事無く、その背中を凝視してました。
「あ!のんのさん!!」
わこが心配そうにこちらを向きますが、すぐに指導室の閉まりかかったドアを思いっきりぶち開け、
のんのの後を追っかけました。自分もわこの後に続きます。内心ドキドキしながら。
2階教務。その日は授業等もなく、教務には黒河さんただ1人しかいらっしゃいませんでした。
のんのはその黒河さんと共におり、何か話しているようでした。
わこと自分がソコに辿り着くと同時に、黒河さんは冷静に口を開きました。
「あぁ、ないと、わこ。今日をもって、のんのが個別指導をやめるそうだ。意志は固いらしいぞ。」
黒河さんの発言に、のんのは真顔で深く頷いた。
「黒河さん!そんなアッサリ…!」
「わこ。のんのはな、だいぶ悩んだみたいなんだ。で、これはのんの自身が悩んだ末に出した結論なんだ。だから…。」
「ウソ!そんなのウソ!!のんのさんがないとさんを…嫌うワケないもん。。。」
わこは半ば涙眼でした。自分ものんのも、わこのその姿を見ると、
ドッキリをもうバラす時が来たと切に感じました。
互いに眼を見て、ドッキリをバラそうと同時に頷いた時、黒河さんが俯くわこにこう尋ねました。
「なぁ、わこ。お前はどうなんだ?」
「…え?」
「個別指導をやめるのんの。これでNAWNは崩壊。お前はどーする?のんのを追っかけるのか?それともないととココに残るのか?」
追い込まれているわこに追い撃ちをかけるかのような質問。驚いたのはわこだけではありません。
自分ものんのも、演技を忘れて驚きの表情を見せました。
わこは俯いたまま黙っていました。
アタマが真っ白なのか、真剣に黒河さんの質問の答えを考えているのか、それは分からなかったですけども。
「黒河さ…。」
たまらず、自分が黒河さんに声を掛けようとした時、黒河さんは素早く首を横に振り、その声を掻き消しました。
「…選べない…。」
わこから放たれた震えた声は、恐らくそのようなワードを描いたと思います。
しかし、その震えた声は小さく、確かには聞き取れませんでした。
「ん?ゴメン、聞こえない。 わこ。今のお前にはどっちか選ばなきゃ…。」
「選べない…!そんなの、絶対選べないもん!!」
黒河さんが再び同じ質問をしようとしたその瞬間、
わこは怒った顔で突然そう叫び、2階教務奥の階段を駆け下りていきました。
その後姿を見る事数秒。自分らは我に返りました。
「ちょ、黒河さん…^^;」
「わこちゃん、帰っちゃいましたね…;;」
黒河さんの脚本では、黒河さんの質問の返答が聞こえた瞬間、ネタばらしという流れでした。
が。実際にはわこは涙眼のまま、バイト先を後にしてしまいました。
「… … …あは☆弘法も筆の誤りんりん☆」
と一瞬オドける黒河さんではあったが、状況が変われば即時に司令官としての能力を発揮。
「まぁとにかく、わこを探してネタばらし、だな。」
「そうですね、ケータイ使いながら探してみます。」
「見つけたら連絡頼むぞ。」
というワケで、徐々に暗くなっていく外へ、
早速わこを探しに行く、ワタクシとのんのでありました。
(つづく)
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